情報処理技術者試験の高度試験の中には論文が出題される試験区分があります。
論文があるという理由で、受験に前向きになれない方も多いのではないでしょうか。
でも、大丈夫です。
「論文こわい」と感じていて受験に踏み切れない方に向けて、情報処理技術者試験の論文を最速で攻略する方法を紹介します。
ちなみに、私は20代のうちに論文がある5区分すべてに一発合格しています。
そんなにキャリアも積んでいない小僧だった私が、それでも合格できたのは論文に向けてしっかり準備したからです。
本記事では、その方法のすべてをご紹介しますので、ぜひ最後までお付き合いください。
情報処理技術者試験の論文(午後Ⅱ)とは
2020年現在、情報処理技術者試験の試験区分は以下の図のようになっています。
論文が必要となる高度試験は以下の5つになります。
他の高度試験は午後Ⅱが記問題ですが、これら5つは午後Ⅱが論述式(論文形式)になります。
・ITストラテジスト試験(秋)
・システムアーキテクト試験(秋)
・プロジェクトマネージャ試験(春)
・ITサービスマネージャ試験(秋)
・システム監査技術者試験(春)
以下はプロジェクトマネージャ試験の概要ですが、他の区分もほぼ同様です。
午後Ⅱの論文は、120分の間に2200文字~3600文字を書く必要があります。
しかも、手書きです。
時間はまったく余裕のない設定になっているで、120分の間、文字を書き続けることになります。
絶対に事前準備が必要です。
情報処理技術者試験の論文(午後Ⅱ)への心構え
勘違いしてはいけないのですが、論文は小説ではありません。
ドラマ性やヒーローもののようなストーリー展開は必要ありません。
大事なのは、読みやすさ・わかりやすさです。
情報処理技術者試験の論文(午後Ⅱ)の攻略法
求められている技術水準を理解する
まず大事なことは、自分が受験する試験区分において期待される人物像や技術水準をしっかり理解することです。
どれだけ優れたスキルや実績を持っていても、プロジェクトマネージャの論文をITストラテジストの視点で書いてしまえば合格はできません。
試験は「あなたが何でもできる優れた人である」ことを見ているのではなく、「求められる技術水準を満たしている」ことを確認しているのです。
そして求められる人物像や技術水準は試験区分ごとに違います。
どういう内容が求められているのかについては、情報処理技術者試験のホームページで確認できますので、必ず確認しましょう。
例えば、プロジェクトマネージャであれば以下のように書かれています。
論文の型を作る
試験当日は本当に時間がありません。
なので、事前に決めておけるものは決めておきましょう。
それを論文の型として準備しましょう。
型の内容としては、例えば、目安とする文字数、時間配分、基本的な論文構成などです。
文字数
論文の文字数は、「800字以上1600字以内」のように試験内で指定されます。
目安としては、上限の8割ぐらいは書くつもりでいましょう。
「800字以上1600字以内」であれば1600文字×0.8で「1280文字」になります。
時間配分
私は時間配分は以下の通りで固定していました。
参考にしてみてください。
基本的な構成
午後Ⅱの論文は3つの設問がありますが、だいたい以下のような内容が問われます。
設問ア:プロジェクトの概要と解決すべき課題
設問イ:課題にして実施した対策と自身が工夫した点
設問ウ:実施した対策の評価と今後に向けた改善点
書く論文も基本的には設問の通りに章立てを作っていけばOKです。
そのほうが書く側も書きやすく、採点する側も採点しやすいのです。
私はだいたい以下のような構成で準備していました。
1.プロジェクトの概要と解決すべき課題(設問ア)
1-1.プロジェクトの概要と自分の役割
1-2.プロジェクトで解決すべき課題
2.課題にして実施した対策と自身が工夫した点(設問イ)
2-1.課題に対して実施した対策
2-2.自身が工夫した点
3.実施した対策の評価と今後に向けた改善点(設問ウ)
3-1.実施した対策の評価
3-2.今後に向けた改善点
論文を3パターン用意する
いよいよ論文の中身の話です。
まず大事なことは、どのぐらいの内容を書くのか、そのイメージを作ることです。
イメージのないまま書き始めると、途方もない時間がかかるのでおすすめしません。
このときに有効な参考書が、
「合格論文の書き方事例集」シリーズ(アイテックIT人材教育研究部)です。
プロジェクトマネージャの参考書を載せておきます。
全部載せると幅を取るので、他の区分は本記事の最後にくっつけておきますね。
試験区分ごとに発行されており、論文事例がなんと約30本も掲載されています。
事例を参考に自分の経験に沿ってカスタマイズして、論文を最低3パターンは準備しておきましょう。
あくまで準備なので時間内に書き上げる必要はありません。
この段階では時間を使って、しっかり文字数を確保した論文を仕上げましょう。
もう1つ。
このとき、事前に確認した「求められている技術水準」をちゃんと意識をして、「私は水準を満たした人ですよ」と気持ちで書きましょう。
自分が自分の上司の立場になったつもりで書いていくぐらいでちょうどいいと思います。
「自分なんて大したことしてません」という遠慮は捨て、「成功したのは自分のおかげ」ぐらいの大きい気持ちで書き進めましょう。
過去問を使って時間内に書く練習をする
最後はアウトプットする練習です。
事前に準備した論文をしっかり頭に入れた状態で、過去問を使って実際に問題に沿って論文を書いていきます。
準備していくと実感できると思いますが「設問ア:プロジェクトの概要と解決すべき課題」や「設問ウ:実施した対策の評価と今後に向けた改善点」などは、テーマが似ていれば、ほぼそのまま事前に準備した論文を流用するだけで書き上げることができます。
このときのポイントですが、問題文をよく読みましょう。
問題文の中には、「こういうこと書いたら評価してあげるよ」と言わんばかりに、設問イで回答を書くような課題に対する対策の例示が書いてあります。
また、問題文の言葉をそのまま使ってしまってOKです。
問題文の言葉を使うことで字数も稼げます。
アウトプットするときは、事前に準備した論文や問題文からの流用を増やすことで、当日考える部分を減らすことができます。
情報処理技術者試験の論文(午後Ⅱ)の攻略法まとめ
最後に、情報処理技術者試験の論文(午後Ⅱ)の攻略法をまとめます。
- 求められている技術水準を理解する
- 論文の型を作る
- 論文を3パターン用意する
- 過去問を使って時間内に書く練習をする
何回もチャレンジするのは大変です。
ぜひ、本記事を読んで次のチャレンジで合格を掴みとってください。
健闘を祈ります。
では、また。
本文でご紹介しきれなかった「合格論文の書き方事例集」シリーズの他の区分についても書籍の紹介を載せておきます。